心臓の病気あれこれ
病気について
大動脈解離とは
血管の壁がはがれてコブ状になる病気
大動脈には内膜、中膜、外膜という3層でできています。動脈硬化によって互いの層がはがれ、中膜と外膜の間に血液が流れ込んだものが、大動脈解離(解離性大動脈瘤)です。
大動脈解離は、できる場所によって治療法が変わるため、特別な分類法(Stanford分類とDeBakey分類)があります。
Stanford A型 大動脈解離 | 上行大動脈にできた大動脈解離 |
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B型 大動脈解離 | 下行大動脈にできた大動脈解離 |
DeBakey Ⅰ型 大動脈解離 | 上行大動脈から下行大動脈までおこった解離 |
Ⅱ型 大動脈解離 | 上行大動脈だけにおこった解離 |
Ⅲ型 大動脈解離 | 下行大動脈だけにおこった解離 |
症状
突然激痛に襲われ瞬時に広がる
大動脈解離を発症すると突然、胸部に引き裂かれるような激しい痛みが現れ、一瞬のうちに胸から背、腰へと広がっていきます。その痛みは強烈で「胸や背中に熱した鉄のくいをぐいぐいと差し込んだような痛み」「引き裂かれるような痛み」と表現されるほどです。痛みの性質から、心筋梗塞と間違いやすいので注意が必要です。
発症後、数時間以内に心筋梗塞や脳梗塞、腎臓障害や腸管壊死、足の虚血などの合併症を引き起す危険があり、2週間は予断を許さない状態が続くといわれています。
検査
CT検査
最新型マルチスライスCTで正確な診断が可能
症状が出たときは、心電図で心筋梗塞との鑑別が可能です。
確実な診断をするために欠かせないのは、X線検査や超音波検査です。最近では、最新型のマルチスライスCT装置によって大動脈解離の場所や大きさ、形などを正確に診断することができるようになりました。
- 腹部エコー
- 腹部CT検査
- 大動脈造影
診断
最新型マルチスライスCTのみ行って緊急手術を行います
大動脈解離が疑われたら、まず胸部X線と最新型マルチスライスCT検査を行い、解離を起こしている場所を特定します。心臓超音波検査(心エコー検査)で心嚢液や弁膜症の有無を確認します。診断がつき次第、緊急手術を行うことがあります。
治療法
治療としては、薬物治療、手術があります。
発症急性期 |
*Stanford A型大動脈解離、DeBakey Ⅰ型、Ⅱ型大動脈解離は、破裂や出血による心停止を起こす可能性が高いために、緊急手術を行う必要があります。 Stanford B型大動脈解離とDeBakey Ⅲ型大動脈解離は、絶対安静にし、降圧療法(血圧を下げて動脈に対する負担を和らげます)を厳重に行い、まずは手術を行わないで経過を観察してゆきます。 |
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慢性期 |
動脈瘤と同じように、大動脈の太さ(血管径)で手術を行うかどうか決まります。 |