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外来・受診

予防接種

肺炎球菌感染症について

「肺炎」は、日本人の死亡原因の第4位の疾病です。 肺炎球菌は肺炎や慢性気道感染症、中耳炎、敗血症、髄膜炎などの原因になる菌です。肺炎球菌感染症は、頻度が高く、しかも重症化しやすく、65歳以上の方においては、肺炎の原因菌の第1位となっています。(全肺炎の約30%)更に、近年では、薬剤に耐性を示す菌が急増しており、治療が困難な方も増えています。ワクチンよる予防は耐性菌にも有効で、本ワクチンの大きな利点のひとつです。

予防接種の効果

1回の接種で、5年以上免疫が持続すると言われています。当院では、厚生労働省の再接種ガイドラインで対象*とされている方には、再接種を行います。まず、お電話で再接種の御希望の相談をしてください。一度当院を受診し、医師が再接種対象の確認を行ってから、後日予約接種となります。

  • *再接種の対象者(下記の方以外は受けられません)
    初回接種から5年以上経過している方で

    • 65歳以上の方
    • 無脾症(手術で摘出・鎌状赤血球症の方など)
    • HIV感染症、白血病、悪性リンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、全身性悪性腫瘍、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、免疫抑制化学療法(副腎皮質ホルモン長期全身投与含む)を受けている方、臓器移植、または骨髄移植を受けたことのある方。

予防接種の副反応

接種後に注射部位の腫れ、痛み、ときに軽い発熱が見られることがありますが、日常生活に差し支えるほどのものではありません。通常1~2日で消失します。 最近実施された本剤の臨床試験では65例中49例(75.4%)96件の副反応が認められました。殆どが、注射した部分の痛み、発赤、はれ、で、その他は頭痛、わきの下の痛みでした。

肺炎球菌ワクチン 再接種の説明

肺炎球菌ワクチンの再接種は、1度のみです。 再接種できる方は、本邦のガイドラインに沿って決めておりどなたでもできるわけではありません。下記の接種対象者以外の方は再接種できませんので、ご注意ください。また、再接種には、医師の説明後、同意書をいただいてからの接種とさせていただきます。

国が再接種を認めていなかった理由

本邦では、肺炎球菌ワクチンは初回接種時より再接種の時に、注射したあたりの強い局所反応が発現(アルサス様反応)したため、再接種をしてはいけないとされていました。

国が再接種を認めた経緯

本邦 厚生労働省は、2009年10月に、肺炎球菌ワクチンの再接種を認めました。その理由は以下の通りです。

  1. 肺炎球菌ワクチンの予防効果は5年以上持続するとされていますが、抗体の濃度は時間とともに低下し、高齢者や、基礎疾患をもっている方は、低下しやすい傾向にあるという報告もあります。 肺炎球菌の抗体が低下すると、重症の肺炎球菌感染者が増えるおそれがあり、抗体を維持するために、再接種が必要となる、としています。
  2. くすりの効かない肺炎球菌が増え、治療が難しい方も増えています。ワクチンによる予防が大切です。
  3. 米国の試験において、接種から4年以上の間隔あけて再接種すれば、初回接種時にくらべて副反応の発現率は増加しないことが確認されたためです。

肺炎球菌ワクチン再接種に関するガイドラインについて

厚生労働省は、国内外の副反応の報告を鑑みて、再接種のガイドラインを作成しました(2009)。 当院では、このガイドラインに従い、本ワクチンの接種が安全にできるように、以下を取り決めました。

接種対象者

*初回接種から5年以上経過した、以下の方

  1. 65歳以上の方
  2. 脾臓のない方(例 : 鎌状赤血球症 脾臓摘出者など)
  3. HIV感染、白血病、悪性リンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、全身性悪性腫瘍、慢性腎不全ネフローゼ症候群、免疫抑制化学療法(副腎皮質ステロイドの長期全身投与を含む)を受けている方、臓器移植または、骨髄移植を受けたことのある方
注意!
  • 初回接種か再接種かわからない方
  • 初回接種から5年以上経過したか、わからない方

は、接種できません。

初回の接種済み書をお持ちの方、または自己申告でもかまいませんが、初回接種から5年以上経過していることを覚えていらっしゃる方のみが対象です。

効果

1回の接種で5年以上免疫が持続する。

再接種の副反応について …厚生労働省ガイドラインより

  1. 重い有害事象の報告はなし
  2. 接種2日以内の注射部位の大きな局所反応(10.2㎝以上)は、初回接種3%、再接種で11%だったが、いずれも3日以内に消失
  3. 接種部位の軽い痛み、軽い腫脹を含めた局所反応は、初回接種、52%~72%、再接種で79%でいずれも5日以内に消失
  4. 接種後のだるさ、疲れやすい感じ、筋肉痛、頭痛は、初回接種、21~35%、再接種で37%
  5. 国内の副反応報告1466件で重篤としたのは5件で、左腕皮膚炎、肺炎、接種部位の腫脹、痛みでそのうち2例は接種から5年以上経過してからの接種だった。