診療科案内
頭痛外来
頭痛外来ってなに?
頭痛外来とは、頭痛を専門に診察する外来のことです。現在日本人の約3割が日常的に慢性の頭痛に悩まされているといわれています。しかし、ありふれた症状のためか、「たかが頭痛」と考える方が多く、病院を受診せず、市販の鎮痛剤を飲んで、頭痛を紛らわしている方が多いようです。しかし、頭痛には、片頭痛(へんずつう)、緊張性型頭痛(きんちょうせいがたずつう)、群発頭痛(ぐんぱつずつう)など様々な種類があり、それぞれに治療方法がことなるのです。
さらに、慢性頭痛の影には、脳腫瘍(のうしゅよう)や脳血管障害(のうけっかんしょうがい)などの怖い病気がかくれていることもありますので、「定期的に痛みを繰り返す」、「市販の頭痛薬では痛みが改善しない」、などの慢性頭痛をお持ちの方は、一度頭痛外来にかかることをおすすめします。
主な頭痛の種類について
片頭痛
片頭痛の有病率(ゆうびょうりつ)は日本の人口に対し8.4%といわれ、日本ではおおよそ840万人が片頭痛に苦しんでいるといわれています。
30~40歳代の働き盛りに多く、特に女性に多く認められます。中等度から高度の頭痛であるため日常生活や仕事に支障をおよぼす一方で、医療機関への受診率は低く、正確な診断や治療がなされていないことが多いようです。
痛みの性質はズキンズキンとした拍動性(脈を打つ痛み)で、吐き気や嘔吐(おうと)を伴い、痛みの強さは中等度から高度であるため、発作がおこると寝込んでしまうというのが特徴です。さらに頭痛の際、音やにおい、光などに過敏となり、頭痛の誘発原因になることがあります。
片頭痛を疑う重要なポイントは、頭痛のために生活が妨げられ、さらに無理に活動すると頭痛がひどくなるという点です。また吐き気などの消化器症状や光、音、においに対する過敏性など、頭痛以外の症状を伴うという点も診断の重要なポイントとなります。
痛みのメカニズムは、脳表面の血管拡張と血管周囲に張りめぐらされている三叉神経(さんさしんけい)の炎症によると考えられています。近年開発されたトリプタン系薬剤は、血管および三叉神経に作用する薬物で、片頭痛に著明な効果を発揮します。このトリプタン製剤の出現により、以前に比べて片頭痛を治療しやすくなりましたが、トリプタン製剤開始後も発作の回数が多く、痛みが抑制しきれない方では予防薬を併用することがあります。
群発頭痛
有病率(ゆうびょうりつ)は0.07~0.09%と片頭痛に比べて低く、頻度は片頭痛の1/6から1/50とされています
20~50歳代の働き盛りに多いことは片頭痛と同様ですが、片頭痛とは逆に男性に多くみとめられます。
季節の変わり目など、決まった時期に発作を繰り返し起こすことが多く、一度発作が始まると連日一定時間痛みが持続するのが特徴です。
症状としては、頭痛とともに、眼の奥がえぐられるような激痛、目の充血、流涙、鼻汁などの症状を伴うことが多いようです。発作の持続時間や繰り返す期間は人によってことなります。
頭痛発作がない期間では、特に症状は認められませんが、ストレス、寝不足、アルコール摂取、気圧の変化などが群発頭痛発作を誘発することで知られており、注意が必要です。
痛みが激しく、市販の鎮痛剤などでは痛みがコントロールするのは困難で、片頭痛と同様にトリプタン系製剤と予防薬の併用で治療を行います。
筋緊張性頭痛
有病率(ゆうびょうりつ)は23.8%とされ、頭痛全体の約50%はこの緊張型頭痛とされています。
痛みの程度としては、日常生活をさまたげるほどの痛みはまれで、しめ付けられるようで、頭が重い、圧迫感があると感じることが多いようです。痛みの起こる場所は頭全体、頭の両側、肩から首の付け根などに多く認められます。
片頭痛のように動作で悪化せず、吐き気や嘔吐などの症状はまれです。持続時間は比較的長く、30分から1週間くらい続くこともあります。
また、緊張型頭痛には肩こり、眼の疲れ(眼精疲労)、全身がだるい、めまい(ふわふわする)などが伴うことがあります。
ストレス、肩こり、睡眠不足、目の疲れ、不良姿勢、冷えなどが悪化させる原因になるのでこれらを改善することも大切な頭痛予防策になります。
鎮痛剤の多用は薬物乱用頭痛を引き起こすことがありますので注意しましょう。
日本脳神経外科専門医
日本頭痛学会専門医
池谷 義守