整形外科
整形外科の診断、治療は、「なぜ、その症状が起こっているか?」「自分のどの部分が問題なのか」を患者さんが理解することで治療が始まると考えております。
当院では、患者さんが自分の問題を理解することに重点を置くため丁寧な説明を心がけております。
ふれあい鎌倉ホスピタル
一般診療
骨折や打撲を含め、肩や膝、腰などの整形外科一般診療が可能です。
変形性膝関節症や肩関節周囲炎(五十肩)、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの変性疾患に関しては、ただ薬や湿布を出すだけでなく患者さんに「自分の何が問題なのか」を理解していただくことでよりよい治療、よりよいリハビリテーションが行えると考えており、丁寧な説明を心がけております。
どんな疾患でも是非ご相談ください。
膝関節
膝関節は、二足歩行の人間にとって体重の何倍もの負荷がかかる重要な関節で、階段を登るときに体重の3.1倍、階段を降りるときに3.5倍の負荷が掛かります。
膝関節痛で重要なことは、「ただ膝が痛い」というだけでなく、膝のどの部分が痛いのか、膝のどの構造物に異常があるのか、どこを治せば良くなるのか、何が困っているのか、などを総合的に判断することです。
膝痛は思春期~青年期に起こる膝痛と、主に40歳以降に起こる膝痛に分けられます。
1.変形性膝関節症、膝蓋大腿関節症
主に40歳以降の膝痛です。関節には、クッションの役割をしている関節軟骨があり、ちょうど機械で言うところの金属と金属の間にシリコンコーティングがされているかのように骨の関節面についています。
日本人はO脚が多く、そのため内側の軟骨が痛みやすく、年齢と共に軟骨が摩耗してくると変形性膝関節症と言われます。
変形性膝関節症の治療は主に4つのステージに分けられます。
A:全身評価、筋力訓練
B:薬物療法、リハビリテーション
C:ヒアルロン酸注射やステロイドなどの関節注射
D:手術(人工関節、高位脛骨骨切り術)
当院では、適切な全身評価を行い、レントゲンなどで正しい画像評価を行います。
全身評価で膝周囲筋の筋力低下や、歩容、生活習慣、筋肉の弾性の低下などの問題が多く見られることから、それらの問題をご説明し、適切な対処方法を指導します。
その後、患者さんの各段階に応じて上記のような適切な治療をご説明し行なっていきます。
2.特発性大腿骨内顆骨壊死
これは、最初は変形性膝関節症と誤診されやすい疾患の一つです。
原因は不明ですが、大腿骨の関節面が壊死してしまう病気です。
この疾患は、保存治療に抵抗する場合、手術が必要になることが多く、画像診断で確定診断となった場合には、人工関節置換術や、高位脛骨骨切り術などの手術適応となります。
3.半月板損傷
半月板損傷は若年のスポーツ疾患から変形性膝関節症の患者さんの半月板損傷まで多岐に渡ります。半月板は、膝の軟骨と軟骨の間のクッションの役割をしているもので、若年ではスポーツに伴う半月板損傷、壮年期では、膝関節の負担が増加することで変性断裂と言われる断裂を起こすことがあります。
若年の半月板損傷では、関節水腫(膝に水が溜まる)やロッキング(膝の伸展、屈曲ができなくなる)、などの症状が出現し、この場合には手術適応となることもあります。
一方、壮年期の変性断裂においては、変形性膝関節症の治療に準じた治療を行い、半月板の症状が強い場合には手術となる可能性があります
4.膝蓋大腿関節障害
膝蓋大腿関節障害は、PF関節障害と呼ばれ、若年にも起こり得ます。
ハムストリングや股関節の筋肉の弾性低下に伴い、膝蓋大腿関節に圧力が多くかかり膝痛が出現します。
この場合、全身評価とリハビリテーションが非常に重要で、多くは適切なストレッチングや全身調整で改善を認めることの多い疾患です。
当院では、理学療法士による適切な全身評価、問題点の提起、改善へのアドバイスを適切に行います。
5.前十字靭帯損傷(ACL損傷)
前十字靭帯損傷は、スポーツにおける靭帯損傷の代表的な疾患で、手術が必要になることの多い疾患です。
ステップを踏む際や、ジャンプからの着地の際などに、下腿を内旋し外反力が加わることで損傷します。そのため、内側側副靭帯損傷や半月板損傷も同時に受傷している可能性もあります。
前十字靭帯損傷で膝に不安定性が残存する場合、giving wayと呼ばれる膝の脱臼した感覚でスポーツ活動が難しくなり、また不安定性が二次的な半月板損傷や変形性膝関節症を来すことから、多くは手術を要します。
当院では、スポーツ整形外科手術で有名な病院と連携していることから、適切な病院にご紹介致します。
6.後十字靭帯損傷(PCL損傷)
後十字靭帯損傷もスポーツで受傷が多い靭帯損傷の一つです。
前十字靭帯損傷とは違い、後十字靭帯は膝が屈曲している際の前後方向の運動を制限している靭帯のため、日常生活に支障を来すことは少なく多くの場合、保存治療が選択されることが多いです。
正しいリハビリテーションや体の使い方を覚えることで二次的な損傷を防止することを目的に適宜リハビリーテーションを行います。
7.内側側副靭帯損傷(MCL損傷)
内側側副靭帯損傷もよく遭遇する疾患の一つです。
主に、1〜3度の重症度に分かれ、膝の不安定性によって規定されます。
1度損傷、2度損傷の場合は、リハビリテーションを中心とした保存治療が行われ、3度損傷に対してはリハビリテーション後に症状が強い場合のみ手術が選択されることもあります。
8.反復性膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼もしばしば遭遇する外傷の一つです。女性に多く、レントゲンでは膝蓋大腿関節の形態異常が見られることが多く、反復する場合には装具治療や、場合により手術治療も必要になることがあります。
しかしながら、内側広筋の筋力トレーニングや膝の使い方など、正しいリハビリテーションが重要で、当院ではまずはリハビリテーションを中心に治療を行い、手術を要する患者さんには、適切な病院へご紹介いたします。
腰の痛み
腰痛の原因は多岐に渡ります。腰痛に関しても正しい診断が必要です。
整形外科的な腰痛としては下記疾患が挙げられ、ただ「腰痛」として考えるのではなく、どの種類の腰痛なのかを正確に診断し、また患者さんの日常の生活や癖、仕事の状況などを把握し、「なぜその腰痛が起こっているのか?」を考えることで 治療方法を患者さんと一緒に見つけていくことが重要と考えています。
- 椎間板性腰痛
- 椎間関節性腰痛
- 腰椎椎間板ヘルニアに伴う腰痛
- 腰部脊柱管狭窄症に伴う腰痛
- 腰椎圧迫骨折に伴う腰痛
- 急性腰椎症
- 仙腸関節症
頸の痛み
頸部も腰痛同様に正しい診断が必要です。
頸部痛の原因も多岐に渡りますが、根本原因を診断することで治療効果も上昇します。
また、当院では各種最新リハビリテーション機器を導入し、慢性的な疼痛の患者さんの治療も可能です。
肩の痛み
肩関節は、当院でも力を入れて治療を行なっている疾患の一つです。
肩関節は、人間最大の可動域を持つ関節であり、同時に骨性の安定性がないことから、靭帯組織や関節包、関節唇などの軟部組織で安定化を図っている関節です。
そのため、骨性に安定性を得ている股関節などとは違い、安定性を損ない易く痛み易い関節とも言えます。
肩関節の正確な診断は従来難しいと言われていましたが、近年診察技術の進歩や、超音波技術、MRIなどの画像の進歩により飛躍的に向上しました。
従来、「医者もよくわからない関節」の代表格で全て「五十肩」と言われる肩関節周囲炎という診断名で、注射や外用処方のみが行われてきました。
肩関節は、前述した通り、軟部組織性に安定性を獲得している関節のため、加齢などによる筋力低下で、正常な動作が難しくなり様々な病態を来たします。
特に困っている患者さんが多い「五十肩」の病態として、中高年の肩甲骨周囲筋力の低下や腱板の機能低下、肩甲骨位置異常により肩関節の「求心位」がうまく保てず、肩関節が本来の動きとは違う動きをすることで色々な障害を来すと考えております。
当院の「五十肩」の治療の軸は3本柱と考えており
今、痛いことをどう治すか
なぜ痛くなったのか?
拘縮がある場合は拘縮の改善
この柱を軸に、各種治療や理学療法士による運動療法を行って参ります。
肩関節疾患や五十肩で最も重要なことはリハビリテーションです。
当院では、詳細な診察を元に患者さんの問題点を挙げ、それに合わせた理学療法を行います。
また、手術が必要だと判断した患者さんには、可及的速やかに適切な手術ができる連携施設へご紹介いたします。
肘の痛み
肘関節自体に障害があることは多くありませんが、肘周囲には多くの筋が付着しておりまた神経も通っているため、肘に疼痛を抱える患者さんは少なくありません。
肘関節の動きとしては、屈曲、伸展だけでなく、回内、回外という特殊な動きも行うため複雑とも言えます。
これらの疾患は、筋付着部の炎症です。
肘に付着している筋は、手関節まで及んでおり、もともとの筋肉の弾性の低下があり、さらに負荷がかかると、付着部である部分に炎症を起こします。
保存治療が主体で、手関節のストレッチングやマッサージ、また装具療法などがメインですが、場合によりステロイド注射などの治療を施行します。
これらの疾患も、患者さんに対して「どの構造物が痛んでいてその症状を来たしているのか?」を正確に診断することで、保存治療の効果も上がると考えています。
1.野球肘
野球肘というのは、非常に幅広い概念であり、診察技術、画像技術の進んだ現在では正式な病名として使われなくなってきています。
野球が原因での肘の疼痛で最も重要なものは、離断性骨軟骨炎と呼ばれる疾患で、発見が遅くなると手術を要することもあるため早期の診断が重要です。
当院では、最新の超音波検査器械を導入し早期発見に努め、横浜市野球肘検診の指定病院としても活動しています。
内側型の野球肘に関しては、主にリハビリーテーションにて正しい投球フォームなどの指導を行います。専門的なリハビリテーションが必要な患者さんには、横浜市スポーツ医科学センターの専門リハビリテーションをご紹介しています。
2.変形性肘関節症
外傷やスポーツ、その他加齢性変化により、肘の軟骨の磨耗や変形を来たした疾患が変形性肘関節症です。
変形性肘関節症になった場合、保存治療を中心に、適宜関節注射などを行いながら経過観察を致します。
症状が強く、日常生活に支障を来たしている場合、また骨の変形が強く可動域制限を来たしている場合などは、関節鏡での手術などが必要になることもあり、その場合には適切な病院へご紹介いたします。
術後のリハビリテーションなどは当院でも可能です。
整形外科専門外来紹介
リウマチ外来
診療内容・特色
関節リウマチのほか、変形性関節症、痛風などを診療しています。
リウマチの診断は年々進歩しており、疾患特異マーカーや画像で検出できるようになっていますので、レントゲン・血液検査を合わせた精度の高い診断を行えるようになっています。
多くの患者さまは関節痛、関節のはれ・こわばりを訴えてこられます。気になる症状があれば、まずは一度診察にいらしてください。
膝外来
診療内容・特色
変形性膝関節症とは、
加齢とともに大腿骨と脛骨の関節軟骨が変性し、骨の摩耗の進行とともに、ひざの関節が変形し痛みなどが生じる病気です。
正常な骨と比較して、変形性膝関節症は、初期から中期は軟骨がすり減り間隔が狭くなります。進行期になると、骨が直接ぶつかるようになります。
症状としては、以下のものがあります。
「動作時痛」(膝を動かしたときに痛みが起こる)
「可動域制限」(膝の曲げ伸ばしが辛くなる)
「関節腫張」(膝が腫れる・水が溜まる)
診断方法としては、診察でひざ内側の圧痛の有無、関節の動きの範囲、腫れやO脚変形などの有無を調べ、X線(レントゲン)検査で診断します。必要により当院でMRI検査などをします。
変形性膝関節症の治療方法は、「保存療法」と「手術療法」があり、症状にあった最適な治療法は何かを知ることも大切です。当院では、「保存療法」と「手術療法」のいずれも対応可能となります。
装具の目的はひざ関節にかかる負担を軽くすることと関節を安定化させることです。
保存療法のうちリハビリテーションは非常に有効かつ重要な治療方法です。ひざの曲げ伸ばし(可動域訓練)とひざを支える筋力の回復(筋力訓練)を行います。 あらゆる保存療法を使っても、ひざの痛みがとれない患者さまには手術をおすすめさせていただきます。
変形性膝関節症が進行し、関節全体に高度の変形が見られるような場合には、すり減って変形した関節の表面を取り除いて人工関節に置き換える「人工膝関節置換術」が行われます。
骨粗鬆症
診療内容・特色
骨粗鬆症専門外来とは、骨粗鬆症の患者の治療を行う専門外来です。骨粗鬆症は主に加齢を原因として骨がもろくなる病気です。
骨粗鬆症の進行による骨折は高齢者が寝たきりになってしまう要因の多くを占めています。このため、骨折が起こる前に予防的診断を受けることが重要となります。
骨粗鬆症専門外来では、骨密度の測定やレントゲン検査、血液や尿の検査などを行い骨粗鬆症の有無や程度を測定し、骨密度の改善のための治療を行います。具体的には投薬によって骨密度を高めるとともに、適切な食事や運動方法などの生活指導によって骨粗鬆症の改善や予防を行うことになります。
フットケア外来
フットケア外来では、医師など多職種と連携し、治療上の一環として医師の指示に基づき、胼胝(タコ)・鶏眼(魚の目)、爪の処置等を行います。
また日々の生活においてご自身で行えるフットケアに関する方法のご提案やケアに関する物品等の情報をご提供いたします。
看護師が行うフットケアを受けにいらしてみませんか
フットケアとは
足は第二の心臓とも言われ、二足歩行の形態で進化した我々人類にとって足は非常に大切なパートナーです。足にできた傷が治らない、固いタコができて歩けない、といった足の問題を抱えていると、患者さんの生活の質(Quality of Life: QOL)が著しく低下します。特に高齢者では活動性が低下し、寝たきりになってしまうこともあります。このような患者さんの歩行を守るのがフットケアです。
フットケア外来
糖尿病の認定看護師の診察や義肢装具士の介入が必要であると判断した場合にフットケア外来での診療を 行っております。他院からのご紹介や受診希望の方はまずは当院までお問い合わせください。
足の代表的な病気
糖尿病性足病変
糖尿病は今や国内で1000万人を超す患者数となっており国民病と言っても過言ではありません。糖尿病は様々な症状を呈する病気ですが、簡単に言えば血管が障害されていくことで三大合併症と言われる病態となります。視力や視野が障害されていく網膜症や、透析にまで至る腎症はよく知られておりますが、感覚神経・運動神経・自律神経が障害される神経症から足の変形や壊死してしまう足病変に直結しているということはあまり知られていないように思われます。
足は目から一番離れた臓器であり、その目が見えなくなってしまうことや神経症によって感覚が麻痺していき傷に気付くことができなくなってしまうことによって発見されたときには進行してしまっているという患者さんをしばしば経験します。
早期発見はもちろん自宅で入念に足の観察を欠かさないことが非常に大切ですが、我々医療従事者も皆さんの目となり足を守っていく必要があると考えております。
担当医師紹介
下沢 寛Hiroshi Shimosawa | |
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常勤 |
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出身大学 |
慶應義塾大学 |
専門分野 |
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千葉 純司 | |
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(非常勤) |
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出身大学 |
岩手医科大学 |
資格 |
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プロフィール |
1985年 岩手医科大学医学部卒、東京女子医科大学付属膠原病リウマチ 1986年 都立広尾病院整形外科 1987年 東芝病院整形外科 1990年 米国ピッツバーグ大学整形外科留学 1992年 米国整形外科学会Zimmer Award受賞 1993年 東京女子医科大学付属第二病院整形外科講師 1999年 同助教授 2006年 同東医療センター整形外科教授 2009年より現職 |
千葉 千絵里 | |
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(非常勤) |
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出身大学 |
東京女子医科大学 |
専門分野 |
日本整形外科学会専門医 |
須賀 雄一 | |
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(非常勤) |
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出身大学 |
滋賀医科大学 |
専門分野 |
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