検査項目についてABOUT INSPECTION

マンモグラフィと乳房エコー検査について

マンモグラフィと乳房超音波、どちらを受ければいいの?

検査の際に上記のような質問をよく受けます。

検査として優劣があるわけでは、検出するのを得意とする病状に違いがあります。

個人の状態により、より適切な検査が異なります。

まずは2つの検査について知ってみましょう。

マンモグラフィとは?

乳がんの早期発見を目的とした乳房専用のレントゲン(X線撮影)検査装置、または検査方法のことです。検査の際には透明な圧迫板で乳房を挟んで、厚さ4~5cmほどに伸ばした状態で上下と斜め方向(場合によっては斜め方向のみ)から合計4枚(2枚)の撮影をします。

利点
  • 石灰化や乳腺の全体像がとらえやすい
  • 検診の受信継続によって、乳がん死亡率が低下することが統計学的に証明されている
  • 撮影方法が定められており、過去画像と比較しやすい
欠点
  • 痛みを伴うことがある(個人差があります)
  • 年齢・乳腺量の個人差により詳細な診断ができない場合がある
  • 妊娠中やその疑いがあるときは検査不可能
  • ペースメーカーや豊胸手術をしている方はできない
マンモグラフィ[イメージ]

超音波検査とは?

超音波検査とは超音波を片体の一部に当てて、反射を映像化することで体の内部の様子を調べる検査です。検査では上半身裸になってベットに仰向けになり、検査する乳房の側から腕を上にあげます。次に胸にゼリーを塗って超音波深触子に乳房に当て、動かしながら映像をモニターに映し出します。検査時間は約10分程度で終わります。

利点
  • 被ばくがない
  • 乳腺が発達している人や若年者(40歳以下)でも傷みなく検査ができる
  • 小さなしこりを見つけやすい
  • しこりの質的診断をしやすい
欠点
  • 石灰化の評価がしづらい
  • がん以外の良性の所見も見つかりやすく、再検査となる可能性が高くなる
  • 施行者の技量に依存する
  • 検診での有効性の確認がいまだ確立されていない
    (厚生労働省指定研究が進行中)
超音波検査[イメージ]

次に乳房の構成(乳腺の密度)についても知ってみましょう。

乳房には4つのタイプがります。乳房は主に脂肪組織と乳腺組織でできており、乳腺組織の多い順に、高濃度、不均一高濃度、散在性、脂肪性という4つのタイプに分けられます。

散在性、脂肪性の2つのタイプは中高齢や高齢女性に多く、マンモグラフィでも乳がんが比較的見つけやすいと言われています。
高濃度、不均一高濃度の2つの乳房はデンスブレストと呼ばれ、欧米人と比べ日本人に多いタイプになります。ある県のデータでは40歳代で60%、50歳代でも40%がデンスブレストに該当しているようです。

年令による乳房タイプの割当[図]

そして、デンスブレストは乳癌リスクが高い可能性も指摘されています。しかしマンモグラフィでは乳腺組織も乳がんも白っぽく写るので判別がしにくいことがあります。

その点、超音波検査では乳腺組織は白く、乳がんは黒く写るので発見しやすいです。

一般的には20-30歳代ではエコー中心、40歳代以降はマンモグラフィ中心が推奨されていますがそれぞれの検査は一長一短のため、年齢のみならず、ご自身の乳房の構成(高濃度かどうか)や、過去の受診結果も参照に検査を選択されることをお勧めします。

4つの乳房構成の画像です。

4つの乳房構成[図]