脳神経内科
診療内容・特色
神経内科は、脳血管障害を主とした神経救急、パーキンソン病や筋委縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症などの神経難病、多発性硬化症、重症筋無力症などの神経免疫疾患ばかりでなく、認知症、頭痛、めまい、てんかんなど多岐にわたる疾患の診療科です。特に濃淡なく神経内科全般にわたり診療します。また、顔面けいれんや斜頚、上肢・下肢痙縮に対してのボツリヌス療法も行っています。
ボツリヌス療法による脇汗対策
脇の多汗症のことを「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」と言います.日本では20人に1人が、「脇が濡れていて気持ち悪い」「汗で濡れたシャツや下着を1日に何回も替えなければならない」「汗染みができて、黄ばんでしまうために白いシャツや下着を着ることができない」など、さまざまな悩みをかかえている患者様がいらっしゃいます。
従来は塩化アルミニウムのローションを塗布しておりましたが、湘南東部クリニックの脳神経内科では腋下多汗症に対しボツリヌス毒素製剤の注射を行っています。この注射の効果は個人差がありますが、治療の2日後から現れることが多く、4~9か月持続します。
これからの暑い季節を快適に過ごすために、脇の多汗症でお悩みの方はボツリヌス治療を ぜひ御検討下さい。
ムズムズ足症候群とは
寝ているときや座っているときに、「ムズムズする」「じっとしていられない」「ほてる」「痛い」という症状が日常的に現れませんか?これらの症状は足を動かすとよくなるのですが、ひどくなると入眠困難や不眠の原因となったり、映画館や飛行機の機内で長時間座っていることが辛く感じたりすることがあります。
これは通称「ムズムズ足症候群」と言われている病気で、正式には「下肢静止不能症候群(RLS)」と言います。糖尿病・慢性腎臓病・鉄欠乏性貧血・パーキンソン病の患者さんにみられる病気です。病気の原因やメカニズムについてはまだわからないことが多いのですが、最近ではCOVID-19ワクチン接種後に本疾患を発症した症例が報告※されており、今も研究が続けられています。血糖コントロールや鉄補充を行ったり、プラミペキソールやガバペンチンエナカルビルなどの薬剤を投与したりすることで症状が軽快・消失することが多い病気なので、上記のような症状のある方は神経内科までご相談下さい。
- Ito H, et al. Neurol Clin Neurosci. 2022
その震え、病気かもしれません。
手の震えを生じる病気の1つに (ほんたいせいしんせん)があるのはごぞんじでしょうか。この病気の手の震えの特徴は、
- ①手を動かしているときや、特定の姿勢を維持しているときに震える
- ②精神的に緊張すると震えが強くなる
- ③声や頭頸部の震えを伴うことがある
- ④飲酒によって震えがおさまる
があります。
本態性振戦の治療はまずは薬物治療のβ(ベータ)遮断薬を用いてみて、震えがおさまれば投薬を継続します。震えがおさまらない場合やβ遮断薬を用いることができない場合には脳外科的治療を検討します。脳外科的治療では頭蓋骨に穴をあけて、脳に電極を刺す治療がなされてきましたが、最近では超音波を用いて視床の一部を破壊する治療が一部の医療機関では可能となっています (この場合、頭蓋骨に 穴を開けたり、脳に電極を刺すことはありません)。
本態性振戦は生命にかかわる病気ではありませんが、患者さんは字がうまく書けない・お箸が使えない・パソコンや携帯電話の操作がうまくできないなど、日常生活におけるさまざまな場面で不自由を感じています。本態性振戦以外にも、パーキンソン病や甲状腺機能亢進症(バセドウ病)など、さまざまな病気で手の震えが生じますので、まずは脳神経内科までご相談下さい。
担当医師紹介
伊藤 恒いとう ひさし | |
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資格 |
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医師コメント |
臨床神経学全般における標準的な診断と治療を心掛けつつ,パーキンソン病・てんかん・頭痛・認知症の患者さんを多く診療しています。ボツリヌス治療 (眼瞼攣縮・片側顔面痙攣・頸部ジストニー・痙縮・腋窩多汗症・痙攣性発声障害)・バクロフェン髄注療法・MRガイド下集束超音波治療の経験が豊富です。 |